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第8章 決意
2月13日(莉乃)
昨夜、彩香より連絡があり、午後から彩香の家に行く事になった。
チョコレート作りがメインで行くのだが、私はその他に、男性恐怖症のカウンセリングも目的の一つだ。
ちょうど学校も職員会議があるとの事で、午前中授業になっているので、好都合であり学校が終わり次第、美希と彩香ママ家に行く事となっている。
そして、学校が終わり美希とチョコレート作りの材料を買って、彩香の家に向かった。
亀戸駅について、彩香の家に向かって歩き始まる。
美希「ところで彩香ママのカウンセリングは大丈夫なの?」
「まだ受けてないから、分からないけど、治療については理解出来たし、多分大丈夫だと思うけど」
「でもさあ、男性恐怖症が治ったら、アイツと付き合う事ないんじゃない?
莉乃ならもっといい人がいると思うんだけどな」
「私は勝利がいるから治そうとしているのよ。
それ以外は考えられないわ」
そんな話をしているとマンション群が見えて来た。
そして彩香に連絡して、A棟に入って行った。
エレベーターの入口に彩香が待っていてくれて、一緒に家に入った。
家に入ると彩香ママの姿は無かったが、奈緒の姿があり、板チョコを細かく砕いている。私達も荷物を置いて、チョコレート作りを始めた。
チョコレート作りも進み、型紙にチョコレートを流し込む。
すると彩香ママが帰って来た。
「ごめんね。遅くなっちゃった。
後でチョコレートフォンデュをしようと思って、材料を買って来たわよ。」
と言って、台所に買ってきた材料を置いて、私の所に向かって歩いて来た。
「お父さん、いいって?」
「はい。お願いしますと言ってました。」
「良かった。じゃあ今日は軽くカウンセリングをやりましょう」
「はい。お願いします。」
そして彩香ママと、彩香ママの部屋に入って行った。
対面で座り、関係の無い話をして、緊張している私に気遣いながら、過去の出来事を思い返す。
今日は、冗談でお尻を触られた時の事を中心に思い返した。
あの時に受けた、何とも言えない感覚を少し思い出したような感じはした。
「今日は、ここまでにしようね」
思った以上に疲れる。
「ねえ、後で勝利君を呼んで話してみようか?」
「二人だけでですか?」
「莉乃ちゃんの友達と私も一緒になら大丈夫?」
もし何かあっても、彩香ママが居てくれれば大丈夫かな?
「はい、やってみます。」
「そうそろそろ暗くなる時間だし、練習も終わるから、呼んでみましょう」
「でも、奈緒ちゃん嫌がらないかな?」
「確かにそうかもしれないけど、奈緒ちゃんは分かって選んだ事だから、変に意識しない方がいいわよ
心に嘘をついて付き合っても、本当の友達にも恋人にもなれないから」
確かにそうかも
「分かりました。」
そして部屋を出て、ベランダに向かう。
みんなも私について来て、ベランダに出てきた。
勝利達がベンチに座っている。私は勝利にLINEを送り、勝利がこっちを見るのを待った。
勝利が携帯を取る。
あっ携帯を見た!
すると勝利が、その場で立ち上がる
あっ勝利がこっちを見た。
私は勝利に手を振ると、勝利がそれに気づき手を振り返してきた。
この距離なら大丈夫なんだ。
と、いつもの症状が起こらない事を知った。
彩香「じゃあ私が3人を呼ぶね」
と言って、祐輔君にLINEを送った。
彩香「来るって!」
と笑顔で言う。
すると美希が
「ねえ、莉乃?」
「何?」
「私会いたく無いんだけど・・」
「大丈夫よ、美希が付き合って無かった事は、みんな知ってるから」
「えっそうなの?小野には、この前の渋谷でお茶した時に言ったけど、私だけが付き合ったと思っていたみたいなのよね。」
「そうみたいね。付き合う意味が大野君には分からなかったのよ」
と美希をフォローした。
すると態度が急変して
「そうよね!子供には分からなかったのよね。
良かった。そんなのと付き合わないで」
ここまで変わるのか?
「でも、彩香ちゃんと付き合っているみたいだから、その事は言ってはダメよ。
美希は大人なんだから」
「そんなの当たり前でしょ!
子供ではあるまいし」
美希が単純で良かったと心から思った。
「でも美希。」
「何?」
「ちょっと、これからカウンセリングに付き合ってもらってもいい?」
「今から?チョコレートフォンデュは?」
「カウンセリングが終わってから食べよう。
お願い!」
「まあ、私は大人だからチョコレートフォンデュより、友情をとるわ」
良かった単純で
彩香ママが近づいてきて
「じゃあ二人共、こっちに来てくれる?」
と彩香ママの部屋に入って行った。
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