第9章 卒業

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翌日 はあ〜もう朝か 時計はもうすぐ9時を指すところだった。 昨日は家に帰ってきてから、親にも莉乃の事を伝え、多分初めてだろう、真面目な話で夜遅くまで白血病や骨髄バンクの事を、家族で調べたり話し合いをした。 家族の一員が病に侵されたかの様に、真剣に話し合った。 眠い 取り敢えず朝食を食べにリビングに向かうと、朝だというのにリビングで話し声が聞こえる。 ? 何とリビングに彩香ちゃんと奈緒が、母と談笑している。 奈緒「勝利遅いよ!」 「いやいや、何でお前達がここに居るんだよ」 彩香「もうすぐ祐輔と耕太も来るよ」 すると玄関のチャイムが鳴った。 母が玄関に迎えに行くと 「おはようございます。」 と言いながら、家に入って来た。 えっ! 「何だよ!聞いてないぞ!」 彩香「どうせ勝利が考えたって答えは出ないでしょ。だから皆んなで考えるのよ」 耕太「皆んなに言ってあげたんだから、感謝しろよ!」 「まだ確定した訳では無いんだから・・・それに莉乃だって皆んなには知られたく無いと思うよ」 奈緒「大丈夫だよ。口は固いし、もし確定診断が下っても、絶対に莉乃ちゃんを助けるんだから」 気持ちは有難いが、莉乃は嫌がらないだろうか? それに莉乃は、疑っている病名を聞いているのだろうか? ! 「祐輔、練習は?」 「今日は熱発した事になっている。」 まったく・・・ でも本気で心配してくれていると感じる。 耕太「ところで白血病って、どんな病気なんだ?」 まさか知らなかったのか! 彩香「簡単に言えば、血液の癌ね。白血病細胞が出来ると白血球が異常に増えてしまって、良い白血球や赤血球、血小板が壊れていくのよ。 そうなると、怪我した血が止まらなくなったり、感染症にかかりやすくなったり、貧血になったりするの」 耕太「それで治るの?」 彩香「抗癌剤を使って、悪い白血病細胞をやっつけるんだけど、その後に正常に血液が造られれば治る人もいる。 ただ殆どが、また白血病細胞が作られてしまう。 この場合に血液が作られる細胞を移植するのよ。」 「へえ〜そうなんだ」 彩香「だけど、白血球が中にいると、せっかく移植した細胞が壊れてしまうから、移植を行う時は強い抗癌剤を使って、白血病細胞を無くしてから、健康な造血髄骨髄液を身体に移植するの。 すると、骨髄が正常に動いて治るのよ。 ただ骨髄にも血液と同じ様に種類があって、白血病の人と同じ種類の白血球が必要なのよ。」 耕太「難しいけど、何となく分かった。でも治るんだね。」 さすが医師の娘だけあって詳しい。 彩香「実は私も昨日の夜に父から教えて貰ったのよ。もしドナーが見つかっても1、2ヶ月時期がかかるんだって 血縁の人だと早いみたいんだけど・・」 祐輔「親がドナーになるんじゃあ無いの?」 彩香「親の血液より兄弟の血液の方がマッチするの。両親はマッチしないケースが多いみたい。子供の体は二人で作られたものだから、片方の体ではマッチしないって事になるわ」 奈緒「血液よりも難しいんだね」 彩香「6個の形があって、6個とも合わないとダメなのよ。」 奈緒「6個?そんなのかなり低い確率だね」 彩香「そう。だから他の人の血液だと数万人に一人の確率なのよ。」 耕太「そうなんだ。だから勝利は泣いてたんだ!」 ! 「耕太、それを言うなよ」 耕太「皆んな知ってるよ。だから皆んな今日来たんだろ」 なんか恥ずかしい 彩香「まずは確定診断を待って、抗癌剤治療かな。血縁者でドナーが見つかれば、そのまま移植の治療になるかも知れないわね。 もしいなくて、抗癌剤で治らなければ、ドナーを探してから移植になるから、7、8月あたりかな? 時期は私にも分からないけど、早い方がいい事だけは確かね」 奈緒「私達に出来る事って何かあるの?」 彩香「・・・・」 耕太「その骨髄バンクへ登録する様に、皆んなに呼び掛けよう!たくさん居ればマッチする人も出てくるだろ」 「呼び掛けるって、どうやって?」 彩香「SNSや街頭チラシしか、私達に出来ない。18歳以上では無いと登録も出来ないから。 でも何もやらないより、一人でも多く登録して貰えれば、その一人がマッチするかも知れない。」 祐輔「そうだな。黙って見てるより、少しでも動こうぜ!」 彩香「祐輔は練習の合間でいいからね。それと耕太と勝利も練習が始まるまででいいわよ。 私と奈緒がメインでやっていくから。」 「俺だって莉乃のために動きたい」 彩香「気持ちは分かるけど、貴方達は莉乃ちゃんに希望を与えてあげて、希望を実現させる勇気を莉乃ちゃんに届けてあげて!」 涙が出そうになるぐらい嬉しかった。 皆んな本当に莉乃の事を考えてくれている。 本当に最高の幼馴染だ。 祐輔「勝利、また泣いてるのか?」 「泣いてないよ。ただ皆んなの気持ちが嬉しくって、勝手に水が目から出てきただけだよ!」 耕太「ば〜か、幼馴染だろ。昨日も言ったけど一緒に悩むのは当たり前なんだよ。 なっ皆んな?」 彩香「そうよ当たり前よ」 祐輔「当たり前だ!」 奈緒は泣きながら 「一緒に苦しもう。私も精一杯頑張るから。勝利も希望を実現させて」 「皆んな・・・」 彩香「それより、今日はポスター作るわよ!」 卒業式の翌日、幼馴染五人が集まり、莉乃の事で悩み、莉乃のために活動してくれた。 そんな最高な幼馴染と過ごした中学校生活は終わったのであった。
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