第2章 それぞれの想い

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(莉乃) キャンプで勝利と出逢った私は、生まれて初めて恋という物を知った。 小学3年生の時に、母の浮気相手に冗談でお尻を触られた事で男性に対する警戒心がトラウマと変わる。 更に、その男性と2人きりになった時、気を使って差し出してくれた麦茶を手で叩いてしまい、こぼした時に、瞬発的にその男の平手が、私の頬を叩いた。 そこで男性への恐怖を感じて、それ以降、男性への警戒と恐怖が私を襲い、男性と話す事も触れる事も出来ない程の男性恐怖症になっていた。 結局母は、その男と駆け落ちしてしまった。 でもキャンプで勝利と出逢う。 私の男性恐怖症は、勝利には発症せず、いつのまにか、キャンプが終わる頃には恋をしていた。 勝利から告白されたが、勝利の軽率な行為で帰り際に喧嘩をしてしまう。 しかし二人が初めて会った場所で仲直りし、ここから始めようと誓い合ってキャンプを終えた。 この流れだと夏休み中には、恋人になっている筈だった。 キャンプを終えると勝利は、ほぼ毎日塾に通う。 塾が休みの日に会おうとすると、勝利の事をよく思っていない友達の美希が、決まって邪魔をした。 LINEはしていたが、恋の発展まで至らず、夏休みは終わってしまった。 そして2学期が始まる。 会いたいな〜 常に心の中では思っているのだけど、たまに電話で声を聞くと、つい照れ隠しで 「アンタは遊ぶ時間なんて無いのよ。勉強しなさい!」 等と、心にも無い事を言ってしまう。 カレンダーを見つめる。 明日で9月も終わる。 勝利にLINEする。 このままではダメだ! (明日、映画でも行かない?) するとすぐにLINEが返ってきた。 (今週の日曜日は、特別講習があるから、来週行こう? 僕も莉乃に会いたい) その返事に顔を赤くした。 (来週か、何とか行ける様に調整するね) と特に用事は無いのに、ちょっと見栄を張って返事をした。 そうだ! 来週のデートに着ていく服を買いに行こう。 早速、美希にLINEする。 (美希、明日の日曜日に渋谷に服を買いに行こうよ) すぐに返信が返ってきた。 (行こう) と書かれた回答だった。 (じゃあ11時に渋谷って事で) とLINEを送った。 翌日 渋谷に着くと美希にLINEする。 (509に先に行ってるね。着いたらLINEして) 私は509というファッションに関する全ての物が揃う商業ビルに入って行った。 すると あれ? 勝利に似てるな? 横には可愛い女の子がいる。 それでも勝利に似ている彼氏を凝視する。 すると、その彼氏がこっちを向き、目が合った。 「えっ勝利!」 ! その言葉に驚き 「えっ!莉乃?」 何で、何で勝利が? 塾の特別講習は? あの子は? 私は、この場にいる事が出来ず逃げ出す様に走った。 勝利が追いかけて来る。 勿論、勝利の方が早いので、509出口で私の手を掴かみ 「莉乃、違うんだ。あの子は、幼馴染で・・」 その時、掴まれた勝利の手が誰かに掴まれ、私の手から勝利の手が離れた。 勝利の手を掴んだのは美希だった。 「莉乃行こう! だからこんな男を信用しちゃあダメなんだよ。 付き合う前にKISSする奴なんて、こんな奴なんだよ!」 と、今度は美希が私の手を掴み走り出した。 さすがに勝利は追いかけて来なかった。 私は走りながら考える。 今、幼馴染って言いかけた・・・ ! ではあの子が、勝利が好きだった子! だから、そんな嘘までついて、あの子と・・・ 結局渋谷の駅まで走った。 美希が横で色々言っていたが、耳に入らない。 「美希ごめん。私帰るね」 とだけ、行って電車に乗った。 一人になると、今まで我慢していた涙が溢れ出してきた。 何で・・・・勝利・・・何で・・・ 涙はいつまでも止まらない。 信じてたのに・・・
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