第2章 それぞれの想い

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(勝利) 金曜日 日曜日に奈緒の買物に付き合う事を学校で約束した。 これって莉乃に疑われちゃうかな? 念のため後でLINEしよう! そんな事を考えながら塾に着いた。 予定通り21:00で塾が終わると、後ろの席から近藤がやってくる。 「明日ヒマか?」 土曜日は特に用が無かったので 「うん。ヒマだけど」 遊ぼうとか言うんじゃ無いよな? 「そうか、じゃあ秋山と一緒に、ユニホームとグローブ持って、亀戸の駅に9時に集合な。 遅れるなよ」 と言って、帰り掛けようとした近藤に 「どう言う事?」 「お前、心城学園が希望校なんだろ?」 「そうだけど」 「多分、何とかなる」 「えっ!ちょっと・・」 と再度呼び掛けたが、そのまま出て行った? 何なんだよ! 僕も塾を出て、帰り道を歩きながら、耕太に電話する。 携帯が繋がらない。 まったくどいつもこいつも! 結局繋がらないまま家に着いた。 お風呂、ご飯と急いで終えて、部屋から耕太に電話する。 繋がった! 「さっきから電話してるのに、全然繋がら無かったぞ!」 と怒り口調で言うと 「悪りい悪りい。 でっ何、こんな時間に」 「近藤が明日の9時に亀戸に秋山と俺に、ユニホームとグローブを持って来るように言われた。」 「何で?」 「知らないよ。一方的に言って来たんだから!」 すると何だか納得した様に、 「分かった。行くよ!」 違和感を感じた僕は、 「何か知ってるのか?」 「分からないけど、多分セレクションじゃ無いかな?」 実績が無い僕も? 「耕太は分かるけど、俺が受けれるとは思わないけど?」 「だから近藤は何も言わなかったんだと思う。俺だって心城学園からは、推薦来ていなかったし、心城学園に、そんな制度がある何て聞いた事が無い。 だから、俺も予想で話しているから、違うかも知れない。」 「そうか、分かっているのは、近藤だけなんだ」 もし本当にセレクションなら、願っても無いチャンスだ。 ただ僕みたいな無名な選手が出れるのだろうか? そんな事を考えていると、深夜0時を過ぎてしまい。 やばい早く寝なくちゃ! 頭は野球モードに切り替わっていた。 土曜日 朝早く起きると、親に、もしかしたらセレクションかも知れないと伝えて、家を出た。 余裕を持って起きたつもりだっったが、結局ギリギリになってしまった。 先に駅で待っていた二人に 「ごめん、待たせちゃって」 耕太「いいから、行くぞ。 やっぱり心城学園のセレクションだって、頑張ろうな!」 その言葉に嬉しさと不安が僕の心を襲った。 そして電車に乗り、心城学園に向かうのだが、心城学園に近づくにつれて、先程抱いた感情の嬉しさは消え失せて、不安だけが心を占拠している。 そんな状態だと表情に出ていたのだろう、僕を気遣い耕太が 「おい勝利、大丈夫か?」 と声を掛けてくれるが、上の空だ。 「う・・うん」 と返事をするのが精一杯であった。 とうとう心城学園は目と鼻の先だ。 3人は校門を過ぎて、グランドに向かう。 その途中、スーツを着た小太りの中年男性が声を掛けて来た。 近藤がその人に向かって 「校長先生、今日はよろしくお願いします。」 校長! 僕と耕太は、慌てて挨拶をする。 そこへユニフォームを着た、監督だろう人が近づいて来た。 年齢は30代後半だろうか、身長が180cmぐらいで体が引き締まって、穏やかそうな人だった。 「監督の丸山です。 今日は君達を見せてもらうよ。」 僕達は 「はい。よろしくお願いします。」 と声が揃った。 すると監督が僕に近づいて来て 「君が小野君か、楽しみにしてるよ」 と肩を軽く2回叩いた。 ? よく分からないが、こうなったら全力でやるしか無い。
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