サマータイム

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朝、というよりももはや昼、目が覚めると一人だった。天井の白い色が真っ先に目に入り、風に膨らんだカーテンが、夏を運んでくる。 ああ、夏休みの気配だ。そう思った。仕事に出掛けたお父さんとお母さんが、私の寝坊をちょっとだけ許して、私を起こさず家を出ていく。 平日のきらきらした昼間に、一人で家にいることなんて滅多にない。だからすごく、新鮮な感じがする。日曜日の昼下がりとは雰囲気がちょっと違う、この空気が昔から大好きだった。それを感じられる、夏休みを昔から愛してる。 私はゆるゆると起き上がった。ベッドのスプリングが静かに軋む。枕元の携帯電話に手を伸ばすと、メッセージが一件届いているのに気付いた。 『海に来ない?』 瞬間、ベッドから飛び下りる。行く行く!行くに決まってる!返事は既に頭の中に浮かんだ。 送り主もきっとそれをわかっているだろうから、返信するより、もう行った方が早い。私はTシャツと短パンをサッと身に付けると、サンダルを突っかけて家を出た。海まで5分、私の家。
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