サマータイム

5/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
そんなつもりで聞いたんじゃないよ、と、素直に言うこともできる。でも、これはきっと分岐点なんだ。いつもと同じように繰り返す夏にするのか、それとも、いつもとは少し違う夏にするのか。 例えば去年だったら、きっとこんな話もしなかった。ただ二人で一緒にいることが、当たり前だったから。こんな話をする時点で、もうすでにゆっくりと、何かは変わり始めている。 引き返してなかったことにするにしても、もう一歩進むにしても、チャンスは、今なのだ。 「…いつでもいいよ。健二郎と行けるなら」 変わってしまうってことは、こんな風に、二人でいることを、特別なことだって思えるようになることなのかな。 だとしたら、こんな変化も、いいかもしれない。 私は健二郎の拾った青い硝子を、そっと撫でた。 変わらない海辺で、変わっていく私たち。 どんなふうに形を変えても、やっぱり健二郎と一緒に、私の夏はめぐるのだ。 サマータイム
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!