星の子ホッシ

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 ホッシは星から生まれた星の子。 星の子のしごとは、星をぴかぴかに磨くこと。  星は夜空の道しるべ。  地球のひとや動物たちが迷わないように、いつも星をピカピカに磨いています。  地上ではお母さん犬が仔犬のペロと、夜空の星をみあげています。 「ペロ、あれが北極星よ」 「ほっきょくせい」 「そう。こぐま座のアルファ星」 「こぐまちゃん」 「そうよ。こぐまちゃんておぼえてね」 「うん」 「お空を見て、こぐまちゃんがいる方が北。北の反対側は南。わかった?」 「うん!ママわかった!」  ペロのお母さんは、重い病気にかかっていました。  自分の死期がちかいことを悟って、ペロに生きるための知恵を教えていたのです。  もちろんペロは、そんなことは知りません。  星の子ホッシは、そんな犬の親子のことなど知らずに、今日もしごとをサボっていました。ホッシは星を磨くしごとが大嫌いだったのです。  ホッシが担当しているこぐま座のアルファ星は、日にひに輝きを失ってゆきました。 「こら!ホッシ!」 ホッシを教育している先生がホッシを叱ると、ホッシは先生の目を盗んで、流れ星に乗って地上に逃げてしまいました。 —— あんなつまんない仕事、二度とごめんだ  地上に降りたホッシは、遊園地でソフトクリームを食べたりと遊び呆けて、ズル休みを満喫していました。  ただホッシが地上に降りたのには、もう一つ理由がありました。先生にも秘密の理由です。
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