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目を開けると見慣れない天井があった。
そうだ。ゼミ合宿。
打ち上げから逃げて島田先生の部屋に来て、それで飲み過ぎて眠くなって……。
ノートパソコンの打ち込みの音がしていて、外は相変わらずの嵐。
体を起こすと腰から下に布団が掛けてあった。
部屋着のひざ丈ワンピース。何もかけてなかったらヤバかったな。
「起きましたか」
「今何時ですか」
「11時半です。それ、あんまり掛けても暑いかと思ったんですが」
「お気遣い、どうも」
確かに、クーラーの除湿はついてるのにちょっと蒸し暑い。
台風のせいだろうか。
「喉渇いた……あれ?」
座卓の上にはつまみとノートPCと煙草、ライター。
「ビールなら冷蔵庫に入れましたよ。空き缶はそこに片付けました」
「なんでそんな気が利くんですか!?」
「常温のビールなんて誰も飲みたくないでしょう」
34歳独身の割には気配りが細かい。
冷蔵庫を開けると、500ミリの缶があと3本あった。
「先生は?」
「僕はいいです。眠くなるから」
「……じゃあ、一人で飲んでますけど」
プルタブを開けると先生が言った。
「酒強いですね」
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