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公園はそれほど遠くは無かった。と言うよりは何度も通った事のあるその公園には何時も子どもが居た為、出来るだけ近寄らない様にしていた事を思い出した。
「こっちよ。なに変な顔してるの、さっさと来る」
「元々こういう顔なんです」
苦虫を噛み潰したかのような表情のまま、店主らしき男は女の子に手を引かれてその公園の奥へと連れて行かれた。
そこには何故か子どもがあまり居なかった。背中越しに子どもの声が聞こえてはいたが、この辺りには何故かほとんど子どもの気配はなかった。
「こっち側は遊具があんまりないし、ベンチも少ないから人も少ないのよ」
そう言いながら女の子は、公園の植え込み部分にズカズカと入っていく。その先には木々と植え込みで覆われた一畳ほどのスペースが隠れていた。
「此処でいつも遊んでいたんだけど。妖精さんは何時も気まぐれでやって来てたから」
此処から手がかりがないのかと思われたが、突然女の子が身を潜める様にして隠れ直した。それと同時に、店主らしき男の頭も押さえつけたかと思うと、隠れた状態のまま小声でこう言って来た。
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