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「あの男!妖精さん攫った男!此処から離れないとマズイからこっち来て」  ほふく前進で、植込みの下を進むことになった。土はつく、虫はいる、蜘蛛の巣は張り放題、見たくもない物まで落ちている。  子どもはよく平気だなと思っていたが、見れば前に居た女の子も実に嫌そうな顔をしながらほふく前進していた。  嫌なものに大人も子供も無いのかも知れない。移動し狭い植込みの隙間からその男を二人して見張る事になった。  まるで犯人を追う刑事の様な気持ちになりつつ、しばらく様子を見ていると、公園で何かを探す素振りを見せたが、すぐさま公園を出た。 「本当に追いかける?一応、顔は憶えたけど」  女の子を連れて危険が有っては面倒なので帰らせ、日を改めるのも手かと思った。だが、どうやら女の子は行く気満々であった為、仕方なくそのまま後を追う事となった。
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