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「これだから、此処は嫌いなんです」  山登りの方がよっぽどマシだと文句と悪態を突きながら、長い長い階段の途中で膝を突きながら等々座り込んだ。 「大体、文明の発展した現代で、こんな非効率的で無駄な労働させるなんて悪趣味もいいとこですよ。エレベーターかロープウェイでもつけて欲しいもんですね」 「お前みたいな不心得者が来れないようにだよ、このバカたれが!」  下から聞こえた聞き覚えのない事にしたい、何度も聞いた事のある威厳のある声が聞こえて来ていた。 「これはこれは和尚。今日も買い物袋に米担ぐとは、アンタは本当に人間ですか?」 「化生にゴチャゴチャ言われとうないわ。さっさとどかんかい、お前には清めの塩くれてやる」  頭に塩をかけられた。店主らしき男は頭にかけられた塩を指で摘まむと、そのまま口に運んだ。 「流石は和尚。この暑さですもんねミネラルをこの化生に恵んで下さるとは、お心遣い痛み入ります」  清めの塩を舐める奴があるかと悪態を吐くと、店主らしき男をおいてさっさと階段を上って行った。 「あー!お慈悲です、おぶってください」 「お前は帰れ!此処にくんなって何度も言ってるだろうが!また勝手に蔵の物持って行ったら承知せんぞ!!」  そう言いつつ、買い物袋の中に入って居たペットボトルのお茶を投げつけると、さっさと行ってしまった。
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