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「おい、寝かしとかんか。いらん事すんな言うたやろ」
気が付けば後ろに和尚が立っていた。それを見るなり男はそっと顔に布を巻き直し和尚の方に向き直った。
「お元気そうで何よりです。ちゃんと刀効いてますね」
そう言い、横目で彼女の枕元に飾る様に置かれた刀と脇差を見ると、にやりと笑い、和尚に部屋を出る様に首で合図された為、そそくさとその部屋を出た。
和尚はまだ調理の途中であったのか、居間に男を連れて行くと再び台所に黙ったまま戻って行った。
暫くすると精進料理らしきものが机に並び、いかつい和尚が作ったとは思えない様な美しい料理が運ばれてきた。
「和尚料理上手いんですね。コレなんですか?海老入ってたら食べれないんですが」
「お前はガメツイやっちゃのう。誰がお前にやる言うた」
和尚がそう言っている間に、既に男は勝手に箸に手を付け気にした風もなくあっという間に平らげた。和尚は黙ったままゆっくり食事をしていた為、男は食べ終わるのを待った。
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