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「って事で借りたのは良いんですが、これ触れないんですよね私」 「知っとるわ。まぁ郵送着払いで送っといたるさかい、安心しいや」 「前払いでお願いします!!」  どちらも途中から罵り合いに変わっていたが、ただ負けたくないと言う強い意志だけで口論を続けていた。そこは譲れないと、二人が謎のせめぎ合いを行うこと数分で決着は着いた。 「せやったら、もう枕貸たらへんからな」 「そんな大人げない事言うんですか!いい大人が一度取り付けた約束破るって言うんですか!解りましたっ、自分で払いますこの強欲和尚が!!」  どちらも納得はしなかったが、決着は着いたので和尚は風呂へと足を運ぶと、すぐさま勝手にテレビをつけ涅槃像姿へと男は横になった。 「今日は泊って行きますね。和尚淋しいでしょうから」 「五月蠅いんじゃ!帰れこのドグサレ化生が!!」  風呂場か怒鳴り声が聞こえて来たが、何とも思っていない様子で飄々と勝手に戸棚に有ったまんじゅうも拝借しながら、風呂上がったら怒るだろうなぁなどと思いつつ夜は更けていった。
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