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「おや、貴方は?」  店に戻ると、小太りの男がすでに店の前までやって来ていた。店の前で座り込みながら憔悴しきった様子で地面を見る様はもう普通とは言い難い様子だった。 「た、たすけて」  店主らしき男を見るなり、そう嘆願してきた小太りの男は目のクマが広がり真っ黒な眼に涙をためて睡眠をとって居ない事が解った。 「まぁ中へ。少し落ち着いてから話ましょうか」  店内に入り、麦茶を差し出す。小太りの男はただ麦茶の水面一点を見続けながら呆けた表情のまま口を開いた。 「寝不足で、会社でへましてクビになりました。責任とれって上司に言われて会社の金でどうにかできると思うなよって脅されまして」 「ふーん。それで」  店主らしき男は生返事をしながら、一人だけポン菓子を食べていた。小太りの男は未だ俯いたまま動こうともせず、ただ口を動かした。 「妻に会社のことを言うと離婚だ何だと言われ、帰る家も追い出されました。あの夢の所為だきっと全部夢の所為なんだ」
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