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「私はトラブル解決人ではありませんから、自分で何とかしてください」
そう言いながら、ポン菓子を逆さに向け一気に食べ終わると、麦茶で流し込み店主らしき男は勿体ぶった様に考えながらそれを告げた。
「でも、貴方の夢の悩みなら解決できるかもしれませんよ」
「あの夢、あの悪夢を見なくなれるんですか?」
突然の思いがけない言葉に、小太りの男は氷水でもかけられたかのように意識が目覚め顔を上げた。
それを見た店主らしき男の口角が上がる。胡散臭さしかない笑みである筈だが、小太りの男にはそれが神か仏の如き笑みに見えている様であった。
「お、お願いします!何とか、何とかして頂けるんですね」
「実はとある高僧の方よりお預かりさせて頂きました、日本でただ一つの邪滅の枕が御座います。魔を払い身を清め、憑き物落としで最も効果が有り高価な品で御座います」
そう言うと、目を輝かせた小太りの男は今までの憔悴っぷりが嘘の様に顔色に血の気が戻った。
「ではまた明日来てください。品物は明日届く予定になってますので」
小太りの男は、今日一日眠らなければ何とかなると、ふらついた思考でそう呟きながら一筋の光明にすがるような思いで飛びついたのだった。
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