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 次の日の朝、段ボールごと枕を引き取った小太りの男は早く眠りにつきたいとすぐさま家に帰ろうとしたが、店主らしき男がそれを引きとめた。 「では此方のレンタル料なんですが」 「良いって幾らでも、十万ですか?二十万ですか?百万までだったら出します。騙されても良いので」 「三千万です」  小太りの男の表情が変わる。この男は何を言っているのだと言う表情で固まったまま店主らしき男の目を見たが、笑顔の張り付いたような表情では感情が読めない。 「冗談だろ。そんな法外な金額でレンタル料何て払える訳無いだろ、効くかも解らないのに」 「効きますよ。だから最後に来るように言ったでしょう、金が払えないならそれは返して頂き一生悪夢に悩まされると良いです」  最後に来るように言ったのは、法外な金額の為だけでは無い。最後の最後にすがる者とは金に糸目などつけず、反論もしてこない為扱いやすい為である。
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