3/19
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
 結局、首の治療をしただけで店を閉める訳にもいかず何の対策も出来ないまま次の日がやって来た。何時もの如く店を開け、何時もの様に本を読みふけっていると同じ時間帯に細身の男はやって来た。 「用意出来たんだろうな。次はもっと深く切りつけるぞ」 「それは勘弁願いたいですね。痛いですから、所で入れ物とは?」  そう言うやいなや、細身の男は自分の持って来た鞄を店主らしき男の目の前で置くと、そのまま鞄を開けた。 「死体、、、、、、、、、いや、人形ですか」  鞄から子どもが転がり出て来たと思ったが、よく見ればそれは精巧に出来た子どもの人形である事が解った。 「早くコイツの命を売ってくれ。とにかく金ならある此処にある額全部だ」  人形と一緒に入っていた札束が散らばった。ざっと一千万は有る様に思えたがそれを拾い上げると細身の男に札束を返した。 「どういうつもりだ。出来ないとは言わせない、出来なければ此処でどうなるか解ってんだろうな」 「いえいえ、恐らく願いはかなえられます。ただ、命の価値が一千万程度じゃあ幾らなんでも安すぎやしませんか?」
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!