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「あー今日は暇ですね。しかし、店は何で掃除してもこんなに汚いのか」  珍しく掃除を始めた店主だったが、やれどもやれども片付く事が無かった為、途中ではたきを投げ捨てたまま商品にもたれ、店の床に座っていると声を掛けられた。 「あの、此方にお化けを退治できる骨董品が有ると聞いたんですが」 「いらっしゃいませ。お客さんでしたか綺麗なお嬢さんで」  そう言うと、乾いた笑い声が聞こえ。やっぱりいいですと答えると女性は店を出ようとした。 「別に新手のナンパではありませんよ。それよりお化けを退治ってどういう事ですかね?」  ようやく起き上がった店主は服の埃を払い、着ていた割烹着を脱ぎそこに有った骨董品にかけると、何時ものお気に入りの席の有る店内奥へと案内した。  本の置かれた椅子の本を除けると、その向かいにあった椅子に店主は腰かけた。互いに椅子に座ると何処から出したのか店主らしき男はペットボトルのお茶を手渡した。  喉が渇いていたのか、店主らしき男が先に蓋を開け一気に半分飲み干した。
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