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「いらっしゃいませ。顔色悪いですね、休んで行かれますか?」 「お前は本当の愛を知っているのか?」  店に入って来たアロハのシャツを着た細身の赤髪の男は片手にバタフライナイフを握りしめて店主らしき男に凄んできた。 「さぁ、私には解りかねます。で、此処に来たのならお求めの商品が有ると思うんですが」 「ああ、あるさ命だ。命を売ってくれ、お前のじゃない俺の愛した人のだ」  細身の男は笑うと右側の口元だけが大きく裂け、化粧をしている事が解った。異質を通り越したそれは不気味である。  まるであたかも全てに対して自らを偽らんとするような威嚇的な化粧は、見る者を畏怖させ恐がらせるだけのものであった。 「命ですか。簡単には行きませんね。とにかく事情を」  話の途中、喉元にナイフの切っ先が当たると、縦に真っ赤な筋を描きながら店主らしき男が人間なのだと証明する。
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