焦燥

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 とにかく現実から逃げていてもどうにもならない。先ずはこの男の手当てをするのが最優先だろう。思い切ったように遼二は言った。 「ここでこうしてても拉致があかねえ……。医者に診せよう」 「医者ったって、こんな時間に開いてる所っていえば、でっけえ総合病院くらいじゃね?」 「救急車呼ぶって方法もあるけどよ……」  ここは山の手の閑静な住宅街だ。幸い、通り掛かる人影もない。遼二は意を決したように立ち上がると、 「なあ、お前ら。済まねえが、下の街へ降りてホームセンターかコンビニでロープを探してきてくれねえか?」  尻のポケットから財布を取り出しながらそう言った。 「ホームセンターならこの坂を下った所に一件あったような……。確か、結構遅くまで開けてることで有名な店……。あそこならまだやってると思うけど……。つか、ロープなんて何に使うんだ?」 「こいつをおぶって俺の背中に括り付けてく。とりあえず家へ帰ろう。俺んちの隣に医者(ヤブ)が住んでっから、そのオッサンに診てもらおうと思ってよ」
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