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「おう、紫月坊も来たか」
「ばんわっす!」
このおやっさんには遼二のみならず、紫月も小さい頃から世話になっているから、殆ど親戚付き合いのような感覚だ。
「で、どうっすか? まだ目を覚まさないっすか?」
自分のベッドに寝かせている男の様子を窺いながら、遼二はそっと尋ねた。その後ろから、紫月も彼の様子を覗き込む。
「どうだ、見覚えあるか?」
小声で紫月にそう問うも、寝顔だけでは判断が付かないのか、紫月は小難しそうに首を傾げるだけだ。
「ん、分かんねえ……。正直、ガキん頃のことだし、会ったのはキャンプん時の一回きりだし」
まあ、そうだろうなと思いつつ、遼二は医師のおやっさんに詳しい所見を聞くことにした。
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