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「こいつ、何でこんな怪我を負ったんスかね?」
「さぁな、詳しいことは何とも言えねえがな。一番酷いのは蹴られたことによる打ち身ってところだな」
「蹴り……ですか」
思わず顔をしかめた二人に、
「しかし、お前さん方も相変わらず厄介なことに係わってやがるなぁ」
医師は溜め息がちにそう言いながら、苦笑した。
「遼二坊の話だと横浜で偶然見掛けて連れ帰ったってことだが、確かにこの子はお前らと違って自分から喧嘩に突っ込んでいくタイプには見えねえわな」
「おやっさん、そりゃねえっしょ! 俺らだって、ンなしょっちゅう喧嘩なんかしないっスよ」
遼二の言葉に医師は軽く笑うと、少し真顔になり、こう続けた。
「お前らみてえなケツの青いガキんちょに言うのもどうかと思うが、この子は単に喧嘩やらでこんな怪我を負ったってだけじゃなさそうだぜ?」
どういう意味だ――と、遼二と紫月は互いを見合った。
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