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不安な一夜
「あんまり想像したくはねえが、この子は誰かに虐待のような目に遭わされてるんじゃねえかと思ってな」
「虐待!?」
遼二も紫月も驚いたように瞳を見開いた。
「それもただの虐待じゃねえような感じなんだ」
「……ただの虐待じゃないって……どういう……」
「――ん。身体中にある内出血は、おそらく殴られたか蹴られたかで付いた痕に間違いねえんだが……それとは別にこの子の内股――太腿の付け根辺りに引っ掻かれたような傷跡が複数見つかってな。つまり、俺の思うに性的な虐待を受けているかも知れねえってことだ」
医師のおやっさんの説明に、二人は一瞬絶句した。
それが本当であるならば、やはりこの男は紫月が幼い頃に出会って助けたという、指輪をくれた子供――という線が色濃くなってくる。しかも、今現在に至っても同じような目に遭い続けているということになる。遼二はもとより紫月も、絶句状態を解けないままで押し黙ってしまった。
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