不安な一夜

3/6
前へ
/343ページ
次へ
 紫月にメールで知らせた時に、念の為、例の子供からもらった指輪を持って来るように伝えておいたのだ。 「ああ、うん持ってきた。これだけど……」  紫月は胸ポケットから指輪を取り出すと、遼二へと手渡した。  寝ている男の掛け布団をそっとまくり上げて、起こさないように指先だけを確認する。 「間違いねえな、そっくり同じ形だ――」 「ならやっぱり……」 「こいつが……お前の捜してた野郎ってことになるな」 「…………」  無言のまま、互いを見つめ合った。 ◇    ◇    ◇
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加