不安な一夜

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 それから三十分足らずで遼二が戻ってきたが、男は相変わらずに夢の中のようだ。 「まだ目ぇ覚まさねえ?」 「ああ、ウンともスンともだ。寝返りさえ打たねえから、安定剤が効いてんのかもな」  部屋の掛け時計を見れば、とっくに日付けが変わって、既に夜中の一時に届きそうだった。 「布団、敷いてくれたんだな。さんきゅな」 「ん、おばさんにわざわざ用意してもらっちまって……何から何まで済まねえな」  いつもなら、遼二は自分のベッドで寝るし、一応来客用にと一組だけは押し入れに置いてあるから、それを引っ張り出して雑魚寝するのが普通である。まあ、遼二のベッドはダブルサイズなので、紫月が一人で泊まりに来る時は、大概彼のベッドで一緒に眠ってしまうわけなのだが――今日は怪我人もいることだしと、母親が気を遣ってもう一組を用意してくれたのだ。
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