兄が語る、弟の過去

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さぞかし、マキシミリアンは戸惑ったと思います。 今まで、放任していた両親が、今度は自分に関心を持つようになったんです。 かなりウンザリしていたと思いますよ。 この時のマキシミリアンは、貴族の子息が通う学校に通学していました。 マキシミリアンは自宅から通いで通学していましたが、今までは放任していた両親が、学校にまで押し掛ける程、べったりになっていたんです。 何をするにも、両親に見られて。 何をするにも、両親の許可を得て。 何をしたにも、両親に報告しなければならない。 これは、妹が行儀見習いから帰ってきて、両親の関心が、また妹に移るまで続いたそうです。 やがて、妹は両親が決めた縁談相手の元に嫁ぐと、また両親の関心はマキシミリアンに戻りました。 その頃のマキシミリアンは、ほとんど、家族と顔を合わせる事がありませんでした。 家に居ても、ほとんど自室にこもっていて、食事も部屋に運ばせていました。 俺達が部屋を訪れても、顔を見せてもくれませんでした。 そうして、学校を卒業したマキシミリアンは、騎士学校に入学しました。 俺達は自宅から騎士団に通っていましたが、マキシミリアンは騎士学校の宿舎に入って。 騎士団に入ってからは、そのまま、騎士団の宿舎に入りました。 とうとう、騎士学校に入学してから、マキシミリアンは一度も自宅に帰ってきませんでした。
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