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「そ、そんな事が出来るんですか?」
アメリアが緊張して見つめると、クリスの実兄は、またふっと笑みを浮かべた。
「当時の人脈を利用すれば、出来るかもしれないと言う話だけです。確証はありません」
「で、ですよね〜」
緊張が解けたアメリアは、ははは、と力無く笑ったのだった。
「ただ、弟が大切に思っている貴方の為に、私も助力は惜しみません。貴方が元の世界に帰りたいと願ったのならば、私も協力をしましょう。勿論、その逆も」
その時、部屋に使用人が入ってきた。三人があまりに遅いから、迎えに来たのだろう。
クリスの実兄は使用人に、すぐに行くと言うと、端的に告げた。
「俺は、大切な弟が傷ついている時に力になれなかった。兄として頼ってもらえなかった事を今でも悔やんでいます。だからこそ、貴方達が弟と、これからも一緒に居てくれるというのなら、協力したいと思っています」
忘れないで下さい。と念を押すと、クリスの実兄は部屋を出て行ったのだった。
アメリアは迎えに来た使用人から、部屋の用意が整った事と、すぐに晩餐だと教えられた。
そうして、コハクを腕に抱いたまま、部屋に案内をしてくれる使用人の後について歩く。
アメリアは知らず、コハクを抱く腕に、力を込めていたのだった。
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