束縛と苦悩

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束縛と苦悩

「あら、コハクちゃん。スプーンの使い方が上手ね。まるで、マキシミリアンみたい」 「母上。マキシミリアンがコハクちゃんの歳の頃は、こうやって落ち着いて食べていなかったと思いますよ」 「あら、そうだったかしら〜」 晩餐になって、アメリアとコハクもクリス達家族と一緒に食事をするように勧められた。 クリスの両親と実兄、クリスとアメリア、コハクで囲むテーブルはとても広く、料理もとても豪華であった。 しかし、料理は美味しいが、何かが足りないようにアメリアは思った。 それは、クリスも同じようで、無理して食べているように見えたのだった。 (それよりも……) クリスの両親は、先程からクリスーーマキシミリアンの話ばかりしていた。クリスも時折、返事をしたり、聞かれた事に答えるだけで、話は特に盛り上がらなかった。 そんなクリスに代わって、話に答えていたのが、クリスの実兄であった。 それでも、クリスの両親は飽きずにクリスに話しかけているので、アメリアも呆れてしまった。 やがて、晩餐も終わりに近づき、食後のデザートとお茶を堪能していると、クリスの父親が言い出したのだった。 「クリス、アメリアさんとは付き合っていないのだろう」 これにはクリスだけでなく、アメリアまでも、お茶を噴き出しそうになった。 「な、何を。はい、そうです。父上」 クリスが返事をすると、父親は満足そうに頷いた。 「それなら良かった。実は、騎士団の関係者からマキシミリアンの縁談の話を受けてな。マキシミリアンは死んだと聞いていたから、縁談は破断になりそうだったが、これなら良さそうだ」 「な、何を言っているのです? 父上」 「そうですよ。父上! マキシミリアンが縁談なんて、なあ?」 クリスの言葉に、クリスの実兄も慌てて賛同した。話を振られたアメリアも、とりあえず頷いたのだった。
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