過去

9/16

89人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
それは、ボクらが高校2年生になった春。 父は突然、半年後に自分の後継者を発表すると言い出した。 その頃にはもう、ボクは何をやっても貴彪には敵わなかった。 貴彪が父の跡を継ぐものだと8割方は決まっていたようなものだったが、ボクはそれでも構わなかった。 元々ボクは、アイツと違って野心の少ないタイプだ。 その上、小さな頃から競走馬や土佐犬のように貴彪と競わされることには、いい加減うんざりしていた。 アイツさえ見なければ、容姿も家柄も頭もよく、スポーツにも負けないボクは、取り巻きも多く、女の子にもモテて、楽しい学園生活を送ることが出来ていた。 ボクの方は、それならいいやと思っていた。 だが、ボクの周りの大人達、特に子供の頃からずっと教育係を務めてきた、後藤田はそうはいかないようだった。 彼は、ボクの知らないところで、悪い画策をしていたのだ。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加