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それは、ボクらが高校2年生になった春。
父は突然、半年後に自分の後継者を発表すると言い出した。
その頃にはもう、ボクは何をやっても貴彪には敵わなかった。
貴彪が父の跡を継ぐものだと8割方は決まっていたようなものだったが、ボクはそれでも構わなかった。
元々ボクは、アイツと違って野心の少ないタイプだ。
その上、小さな頃から競走馬や土佐犬のように貴彪と競わされることには、いい加減うんざりしていた。
アイツさえ見なければ、容姿も家柄も頭もよく、スポーツにも負けないボクは、取り巻きも多く、女の子にもモテて、楽しい学園生活を送ることが出来ていた。
ボクの方は、それならいいやと思っていた。
だが、ボクの周りの大人達、特に子供の頃からずっと教育係を務めてきた、後藤田はそうはいかないようだった。
彼は、ボクの知らないところで、悪い画策をしていたのだ。
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