過去

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それからほどなくして、貴彪の乗った車が、事故を起こしたというニュースが飛び込んできた。 ボク等には当時、それぞれにお抱えの運転手がいて、登下校は彼らの運転による自家用車だった。 ボク達の通う学校では、別段珍しくもないことだ。 故障した車による自損事故で、貴彪は半身不随になったということだった_____ 後藤田からこのニュースを聞かされた時は、正直戸惑った。 だってもう、てっきり跡取りは貴彪と決まったって考えていたから。 が、同時に、心が踊らなかったといえば嘘になる。 だって、莫大な財産も、命令を聞く人間も、そしてあのフワフワの天使みたいな女の子、瑠璃子お嬢さんも、父の期待も、自動的に全部ボクのものになるんだ。 後藤田は、しきりに“重責だ”とか、“これからはより一層の努力を”とかボクに説いたが、そんなことは、ひとつも考えなかった。
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