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そういってボクに同意を求める彼女だが、膝下には、しっかりと愛しい眼差しを投げ掛けている。
ふん、面白くね。
しっかし、あの貴彪が、自分の家のリビングで、膝枕で熟睡だなんてさ。
ちょっと前までは考えられなかった光景だ。
しばらくの間、ボクは彼女と一緒になって、だらしなく眠る貴彪の寝顔を、ただ見つめていた。
人を疑うことしか知らなかった貴彪が、美咲ちゃんに出会ってからは、ずいぶん柔らかく、人間らしく変わっていった。
まあ、美咲ちゃんの方は、むしろもう少し人を疑ってかかった方がいいんじゃないかと思うけどね。
ほら、現に今だって_____
「_____美咲ちゃん」
「ん?」
彼女にイケナイ妄想を抱いて近づいてきたボクの、さらに真正面に顔を上げてくる。
ボクになんの疑いも抱いてない、信頼しきった瞳を向けて。
多少の熱っぽさを込めて、
見つめ合うこと1秒、2秒、3秒_____
「?」
あー、やっぱダメだ。
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