過去

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過去

自分で言うのも何だけど。 小さな頃のボクは、大人の言うことをよく聞く素直でいい子だった。 あまり物事に拘らず、嫌なことがあっても次の瞬間にはすぐ笑っている、扱いやすい子供。 物心ついた時から、周りをいつもたくさんの大人に囲まれていたボクは、いつの間にやらそんな特技を身に付けていたように思う。 比べて、兄の貴彪はひどく気難しく、癇癪を起こしては大人達を困らせる奴。 何でもっと、上手くやろうとしないんだろうかと、ボクはとても不思議に思っていた。 ボクがアイツと初めて対面したのは、多分、5歳くらいの頃だったと思う。
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