86人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「お兄様の貴彪様ですよ」
目の前に立ったアイツを、ボクはしばらくボーッと見ていた。
まるで鏡を見ているみたいに、同じ身長、同じ顔が、左に守役である父の部下、右に世話役のメイドを従え、憮然として立っている。
「さ、将馬様。きちんとご挨拶を」
守役の後藤田に促され、ボクは慌ててニコリと微笑んだ。
「こんにちわ」
教えられた通りに右手を差し出し、ちょこっと首を傾げたボク。
だがソイツは、その手を取るどころかニコリともしなかった。
ボクの顔を憎々しげに睨んで、手をパシッと払いのけ、こう言い放ったのだ。
「オマエなんかに…絶対負けないからな!」
は…?
最初のコメントを投稿しよう!