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それが覆ったのは、僕らが小学校3年生の、運動会の時だった。
言い訳になるかもしれないけど、その日ボクは、たまたま足が痛かった。
別に何があったわけじゃない。
多分、緊張しすぎていて、筋肉が強張っていたんだ。
だけど_____
その日、同じレーンで走ったアイツに、ボクは初めて負かされた。
「やった!やった、勝ったぞ」
貴彪は、バカみたいに喜んでいた。
ふん、何だよ。たまたま、一回勝ったくらいでさ。
ボクは足が痛かったんだ…
けれど。
不思議なことに、それからボクはだんだんとアイツに負けることが多くなった。
徒競走だけじゃなく、勉強でも、何かにつけてヤツはボクの上をいった。
そして、その度に貴彪は自信をつけ、小学校を卒業する頃にはもう、ボクはアイツに何一つ勝つことができなくなっていた。
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