2章 恋人にしない理由

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「華原は何も悪くないよ。笑い過ごせばいいのに、俺が変な態度取ったから……」 「ううん、悪いのは私だから」 「違うって。……第一、俺は塚本さんと付き合っていたわけじゃないし。堂々としてりゃいいんだよな」 「そう言えばそうよね。でも、これ以上この話はしたくないってあの時石堂が言っちゃったから、大半の人は塚本さんが石堂の元カノだったって、今でも思ってると思うけど」 「確かに……」 さっきの同期の仲間たちの反応を見ても、誤解しているやつらが多いんだということが分かる。 とは言っても、今更何年も前の話を穿り返して弁解したところで、何の意味があるのか。自分にとっては忘れたい過去で、一瞬たりとも思い出したくない。 今ではそのことを噂する人間だっていないのだから、このまま触れない方が得策のように感じる。 「まぁ、別にいいんじゃない? 塚本さんはもう会社にいないんだし、今更あの時の話を話題にするような人もいないって!」 大丈夫と笑う華原に軽く肩を叩かれ、自分よりも男前の彼女に苦笑が漏れた。 「男の面子が立たないな」 「え? 何か言った?」 「……いいや。ありがとな、華原」 頼りになる同期を持って本当に良かった──そう、心から思った。
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