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（私が営業部付きの秘書になるって知ったら、石堂は驚くかな）
どんな反応をするかと内心ワクワクしていると、あっという間に営業部に到着した。
一歩足を踏み入れた瞬間から、ちらちらと感じる視線。営業部なんて、電話が鳴りっぱなしで、人が常に走り回っているようなイメージだったけど、至って普通の雰囲気だった。
フロアの一番奥にある本部長室を目指す途中で、さり気なく石堂の姿を探すも、見つからない。今日は外出しているのかもしれない。
軽く溜め息をつき、更に奥へと進む。
その後は本部長へご挨拶をし、現任秘書と引き継ぎに関する簡単な確認を行った。あまり時間が残されていないので、翌日から少しずつ引き継ぎを開始することになった。
「谷川本部長、いい人でしょう？ 我が社で一番評判のいい役員さんよ。無茶な事は言わない人だから、安心してね」
そのまま次の打ち合わせに向かうという万里子とは営業部の前で別れ、秘書課へ戻ろうとしたとき、少し先から石堂が歩いてくるのが見えた。
隣には、若い女性が一緒だ。
二人とも外回りから帰って来たばかりのようで、何やら仕事の話をしていた。
さすがに声をかけることを憚られた紫は、そのまま横を通り過ぎようとして、「華原？」と声をかけられ振り向く。
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