4章 嵐を巻き起こす男

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こちらの思惑通り、谷川本部長はそこで話を切り上げた。 本部長室はガラス張りの造りなので、中から社員の働く様子がよく見える。 石堂は、先ほどからひっきりなしに電話対応をしているようだ。終わったと思ったら、すぐに次の電話が鳴る。それはお昼休みも同様だった。 「石堂、ランチ行かないの?」 お昼休み開始の鐘が鳴り、時間が少し経ってから立ち上がった時、フロアにはまだ半分程度の社員が残っていた。 その中に石堂がいたので声をかけたら、彼は少し驚いていた。 「鐘、鳴った?」 「とっくにね。私ですら、5分遅れくらいだけど」 「……そうか」 「お昼、行くなら一緒に行かない?」 聡子も一緒だけど。そう付け加えると、石堂はデスクの上の書類を少し眺めて、小さく首を振った。 「今日はやめとくよ。15時から外出だし、それまでにこの山、片付けたいから」 「……そっか。お昼あるの? 何か買って来ようか?」 「後で適当に買うからいいよ。サンキュー」 そう言って石堂は、すぐに作業に戻った。 ただひたすら目の前のディスプレイと向き合う石堂には、これ以上何を言ってもムダらしい。 紫は諦めて、一人食堂へ向かう。偶然エレベータを降りたところで聡子と一緒になり、石堂のことを話した。
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