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「紫さぁ、男女間の友情なんて、本当に成り立つと思ってんの?」
「しつこいなぁ。現に、私と石堂の間では成り立ってるでしょ? この前も言ったけど、私たち、別に身体の関係だってないからね」
石堂に相手にされない女性の僻みか、はたまた逆に紫に相手にされない男性のやっかみか、「付き合っていない」と主張する石堂と紫の関係を、セフレなどと噂する人間も少なからず社内にいるようだ。
けれど実際のところ、二人はお互いの家にすら入ったことはないし、二人一緒にいても、そういうあやしい雰囲気にもならない。
当たり前だ。だって二人は、友達なのだから。
「それは石堂くんがよっぽど我慢してるからだと思うけど。……で、溜まった鬱憤を他の女で晴らしてるわけだ」
「石堂、他の子たちとも清い関係だって言ってるけどね」
「本当!? ……いや、でもそれはないでしょう。それに、あれだけのイケメンが一人で自分を慰めてる姿なんて、想像したくな~い!!」
「……」
聡子の想像力は、いつもながらぶっ飛んでいると紫は思う。
こんな時、彼女が一人妄想に浸っている時は、黙って見守るに限る。
紫がそう納得してカップを持ち上げた時、隣の席にどかりと男が座り込んできた。
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