プロローグ

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

プロローグ

「ヒトウオって知ってるか?」 「ヒトウオ?」 聞き慣れない単語に、カナエは首を傾げた。 100年前起こった大洪水によって1つの町が湖に沈んだ。 そこでは沈んだ人間が独自の進化を遂げ、今も生活している…という都市伝説に最近できた恋人、トモキは興味を持ったらしい。 「年に一回、8月1日だけ湖の水が干上がるんだってさ。これはオカルト研究会的には行くしかないんじゃね?」 オカルト研究会とはカナエとトモキが属する大学サークルだ。 研究会といっても名ばかりで実際はただの酒飲みサークルだ。 本来の目的であるオカルト関連の研究などは一切行っていない。 しかしカナエは自他ともに認める好奇心旺盛な人間だ。 2つ返事で同行を承諾した。 それが悲劇の始まりだとも知らずに――。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!