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プロローグ
「ヒトウオって知ってるか?」
「ヒトウオ?」
聞き慣れない単語に、カナエは首を傾げた。
100年前起こった大洪水によって1つの町が湖に沈んだ。
そこでは沈んだ人間が独自の進化を遂げ、今も生活している…という都市伝説に最近できた恋人、トモキは興味を持ったらしい。
「年に一回、8月1日だけ湖の水が干上がるんだってさ。これはオカルト研究会的には行くしかないんじゃね?」
オカルト研究会とはカナエとトモキが属する大学サークルだ。
研究会といっても名ばかりで実際はただの酒飲みサークルだ。
本来の目的であるオカルト関連の研究などは一切行っていない。
しかしカナエは自他ともに認める好奇心旺盛な人間だ。
2つ返事で同行を承諾した。
それが悲劇の始まりだとも知らずに――。
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