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果てしない食欲の原因は?
最初から彼女が同じ趣味だと気付いていれぱ、もう少し語り合えたのかも知れない。
もしかして、鈴木が言っていた気が合うってこの事か?
だが、どうしてもビジュアルが……。
「私……見た目がこんなんだから、彼氏出来た事ないんですよね」
「……えっ!?」
一瞬、心の声が聞こえてしまったのかと焦った。
「大学生の時は、もっと痩せてたんです……何人かの男性から告白して頂いた事もありました」
出来るなら、その時に会ってみたかった。今の見た目からは、想像出来なかった。だが所謂、「痩せたら、モテる」の枠に収まる類いなのかも知れない。
「看護師として働く様になって、ストレスが溜まる一方で……不規則なシフト、生と死が隣り合わせの現場。心ない言葉を投げる、患者とその家族」
「……俺には、想像もつかないな」
「癒しが欲しくなりました。休みの日を趣味だけで過ごす事に、物足りなさを感じてきて……だから、こんな場に参加しようって。でも私、制服着ちゃえば問題ないんですけど……一歩外に出ると、全然喋れなくて。妙に緊張しちゃうんですよね」
上目遣いに覗かせる看護師の瞳は、店内の照明に淡く照らされ、潤んでいるように見えた。
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