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工藤とマナミ
明里ちゃんを駅の改札で見送り、歩いて自宅まで向かった。商店街を抜け、住宅街に入れば直ぐだった。来た道を戻り、先程までいた居酒屋の前を通り過ぎて、少し先を進んだ時だった。向かいからベッタリと腕を組みながら、イチャイチャ歩いて来るカップルが、工藤とマナミちゃんだと直ぐにわかった。
『よぉ、何してんだよ?』
工藤は、明らかに酔っぱらっていた。
『イヤだぁ……シラケる~。何で、ここにいるのよ?』
汚い物を見るようなマナミちゃんの視線が、俺を襲った。
「……朝までコースだな」
嘲笑うように、二人に言った。様々な想いを込め、皮肉って言ったにも関わらず、二人はそれを認識しなかった様だった。
「……まぁな」ニヤケながら工藤がマナミに向くと、「えぇぇぇ、そうなのぉ?」とマナミは意外そうな顔を見せる。
「お前からさっき誘って来たんだろう?」
驚いた様子の工藤に、「エヘヘ……そうだっけ?」とマナミが笑って見せた。
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