価値観と世界観

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価値観と世界観

もう……いい。 二人の横を通り過ぎて、歩き始めた。 背後に工藤が俺を呼ぶ声が聞こえるが、気にも留めず足を止めなかった。ただはっきりと最後に、「あんな奴……マジクソ」とマナミの声が聞こえた。 別に二人の事を、否定も肯定するつもりはない。 彼等の『価値観』が、そうさせているだけの事。 人それぞれ『価値観』が異なるように、俺の『価値観』の中で、二人の言動は理解出来なかった。 たった数時間で、こんなに浮き沈みが激しい気持ちになるだなんて予想だにしなかった。 それでも、この数時間で得られた事が、確かにあった。新しい世界……新しい出会い……新しい価値観。 とにかく、前に進もうと思う。 今まで、見ようとしなかった事や触れようとしなかった事で、狭い世界に住んでいたようだった。人間味溢れた出会いこそ、世界が広がるように感じる。 そう気付けたのは、彼女のおかげだった。 俺が見た目で『梅』と決めつけた、明里だった。
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