女心がわかる男は、モテる?

1/1
前へ
/15ページ
次へ

女心がわかる男は、モテる?

「……おい?そっち、大丈夫か?」 歩き去るマナミちゃんの背中を見遣りながら、工藤が話しかけてきた。 「……何が?特に問題ないだろう?さっきの見ただろう?マナミちゃん……俺の事、指したの」 今日が、初めての合コンだった。元々、女性と会話をする事が苦手な俺が、マナミちゃんのような女性と接する事が皆無に近い。何を話題にすれば良いのか、何をすれば好まれるのか……意識すればする程、自分をさらけ出す事に臆病になる。だが、あんなに可愛い子にアプローチされたら、男として舞い上がるに決まってるだろう?マナミちゃんは、俺に気があるに違いない。 「あんまり盛り上がらないなら、俺がもらっちゃうぞ?」 保育士に聞こえないように、俺の耳元で工藤が囁いた。顔を上げ、工藤の顔を見ると満面の笑みを向ける。 「……俺が主役なんだろう?第一、お前みたいなタイプが、マナミちゃんみたいな清楚系に相手される訳ないね」 「……どうかな?お前はまだ何にもわかってないな……まぁ、いいや。そろそろ、俺も攻めようかね」工藤のような女性に慣れた男に、俺が敵う筈がない。 「……お前、まだ連絡先聞いてないよな?」 「……あぁ」 合コンが始まる前に、工藤からアドバイスをもらった。気になる子がいたら、必ず連絡先を聞けと。ただ、タイミングや話の切り出し方の術を持たない俺には、余りにも高いハードルだった。軽く、『ライン、交換しよう?』で良いんだと工藤は言ったが、マナミちゃんの前では、妙に緊張する。 そんな会話をしていると保育士が、「何、こそこそ話しているんですか~?私の事、二人とも狙っているんでしょ?」と酔っ払った様子で、的外れな事を言ってきた。 何を言っているんだ、こいつ……梅のくせに。 内心そう思ったが、工藤は違った。 「そうだよ~、マリちゃん。よくわかったね?」 先程まで俺に見せた顔色と異なり、一気に明るくなり驚いた様子を工藤は見せた。 その変わりように呆気に取られていると、マナミちゃんが席に戻ってきた。マナミちゃんは戻ってきて早々に、グラスを空けて日本酒をロックで注文した。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加