飲みの過ち

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飲みの過ち

 久々オフの朝は、頭痛と覚えのない……おそらくラブホの一室で始まった。  はて、覚えがない。だがベッドの大きさや内装の感じから、ここがラブホであることは確からしい。  更に言えば俺は衣服を何一つ着ていない。  これは……何をやらかしたのだろうか?  よくよく思い出そうと隣を見た俺は、今度こそ完全に思考が停止した。  隣に居たのは美人の上司だった。長身で色白で、整った顔をしている。清潔感のある明るいショートカットの髪に、銀縁の眼鏡が似合う。仕事もバリバリできる、無表情で仕事の鬼な美人上司。  ただ問題は、この人が男だということだ。  いやいや、ちょっと待て! どうしてこの人が隣でこんなに無防備に寝ている! しかも全裸。全裸!  いよいよ昨日何があったのか分からなくなって頭を抱えた俺の隣で、美人上司が身じろぎ、長い睫を震わせて目を覚ました。 「あ……」  あぁ、声が少し掠れた感じ、色っぽいっすね。俺が女子ならラッキーハプニングとして一生の思い出にするでしょうよ。 「あの……」 「……シャワー、浴びてくる」 「あぁ、はい」  怠そうに起き上がった上司の肌にはいくつか赤い印が散っている。もしかしなくてもあれ、俺がつけたんだよな? そして俺がものすごくスッキリしてるって事は、俺が……。  想像したら、息子が朝勃ちしました。  バスルームからシャワーの音が響く。こういうシチュエーションって、モテ男な感じがする。実際は冴えない彼女なしの社畜ですけれど。  それにしても何があったんだ? 俺は本気で昨日の記憶を探り始めた。
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