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蟋蟀
小学校低学年では理科…… 今や社会の授業と統合されて生活科と言う名前に変わっているが、昔の話故に理科の授業としてこの話を聞いて欲しい。
私が低学年の時の担任教師は理系上がりで殊の外、理科の授業、特に昆虫に関して気合を入れていた。
アンリ・ファーブルに憧れて昆虫学者になろうとしたのだが、バブルも弾けて安定した収入を得て欲しいと言う親族の願いから嫌々渋々と教師の道を歩んだとのことらしい。
気合の入り方は今にしてみれば明らかにおかしく、小学校低学年の私達に対して
「完全変態」
「不完全変態」
の虫の違いに付いて教えるぐらいだ。少しマセた奴はそれを聞いて笑うが、理系では真面目な用語の為にクスクスと笑おうものなら拳骨が食らわされる。
昭和の体罰に対してまだおおらかな時期の話なので仕方ない。今、こんな事をやろうものなら翌日新担任がやってくるだろう。
完全変態、不完全変態に関しては詳しくは説明しない。
卵から生まれて幼虫となり蛹を経由して成虫になるのが「完全変態」
卵から生まれて幼虫となりそのままの姿で成長し成虫になるのが「不完全変態」
と、覚えてもらえれば有り難い。
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