我々はネコである。干支には無い。

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「我々がもっとも人類に愛されている動物であることは、もはや疑いようがない」  自慢の髭を揺らしながら自説を唱えたのは、ネコ界を牛耳る大統領、ドニャルド・トニャンプだった。 「トニャンプ氏のおっしゃる通りですわ。もはや我々ネコは、人類にとって欠かせぬ存在ですもの」  セクシーにくびれた腰を揺らしながらトニャンプに同調したのは、ネコ界では不動の人気を誇る歌姫、レディー・ニャニャだった。 「俺らはテレビコマーシャルには抜擢されるし、YouTubeでは数億回以上も再生されている。もはや人間がネコを利用しているのではなく、俺らネコがイメージアップのために人間を逆に利用しているといっても差し支えあるまい」  シュシュシューーと、目にも止まらぬ高速ネコパンチを繰り出しながら不敵に微笑んだのは、ネコ界では最高額のファイトマネーを誇るニャロイド・メイウェニャーだった。 「しかしだ、諸君。日本という国では、どうやら我々ネコを軽んじているようなのだ」  トニャンプが不機嫌そうに髭をいじりながら言った。 「日本? 日本にはネコカフェが何店舗あると思ってんだ? 日本人は、俺らネコの魅力に感服した民族のはずだろ?」  メイウェニャーはスパーリングを続けながら言った。 「どういうことかしら? その理由を聞かせてもらえる?」  ニャニャは、艶かしげにしっぽを振りながら言った。  
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