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確かにキノコ雲をいつかどこかで見た気がする。それはいつだったのだろうか。
芳彦は高校の修学旅行で広島に来た。
戦争を体験していない日本人は、本当に原子爆弾の被爆者の皆さんの気持ちを理解できるのだろうか。無理かもしれない。そんなことを思っていた。
団体行動で同級生と一緒に歩いていた。それなのに気が付くと一人で歩いていた。何か変だなと思った。何なんだろうこの感じは。
急に今までとは違う熱気に包まれた。気のせいだと思いそのまま歩いていた。何か熱中症にでもかかったのかもしれないと思わせる感じだ。それも重症の。ふと前方を見ると人ごみがあった。あまり人ごみの中には行きたくなかった。その人たちの姿を見ると焼けただれた人たちだった。
空を見上げる余裕はなかった。芳彦は川に向かう人たちの人ごみに混ざっていた。
焼けただれた人たちが川に入って行く。
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