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Chapter5・出会いの応酬、つまりは出会い合い
Ⅰ) 天国での会話
ーーただいま、戻りましたあ!
「こはくん、おかえり!
お疲れ様でした! どうだった?」
「ももちゃん、ただいまー!
うん、お会いできて、ホントに嬉しかった!
こはくたちキューピッドは、担当している間には、カップルのお2人に会えないから!
でも、担当終えてからも、無事生涯をともにするカップルの様子を見守って。
今日みたいにご夫妻が天国で再会なさった場に立ち会えることが、この仕事の至上の喜びだよ!
お2人とも、ホントお幸せそうで!!」
「いいなあ…。ぼくも早く、そんな風に言えるようになりたいなぁ。」
彼女の名前は琥珀さん。
ぼくの子どもの頃からの幼馴染みで、キューピッド課の先輩。
これまで手掛けたカップルは全て、天国入りを果たしていると言う、成績トップクラスのエリートキューピッドちゃんです。
樹液が昆虫を吸い寄せるがごとく、男子たちが吸い寄せられちゃう美貌の持ち主。
色白のふっくら柔らかそうなほっぺに、ぷくりと艶やかな唇。小動物のように愛らしい瞳は常に潤いを湛え…そして。
何より素晴らしいのが翼!!
「琥珀」の名の示す通り、べっ甲のごとく半透明に輝く、琥珀色の、あの翼!!
人間や天使たちはおろか、地獄の皆さんをも虜にして止まない、『お嫁さんにしたい天使ナンバーワン』!
それが、彼女。
ぼくの幼馴染みの『こはくん』こと、琥珀ちゃん なのです。
ところで。今更ながら、ぼくらは天使なので。
背中に立派な翼を持っています。
琥珀ちゃんがアンバー色の翼を持つように、そのほとんどが名前に応じた色をしています。
かく言うぼくの翼は、やっぱりピンク色。桃のように淡くて甘い、我ながらお気に入りの翼です。
で、ぼくら天使にとっては、この翼の美しさも、他のルックス同様、いや、それ以上に、とても重要なモテ要素、なのです。
(大きさは自在に変えられるので、邪魔な時や人間界に行く時には小さく、異性へのアピールや、もちろん飛翔の時には、最大にします。)
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