Chapter5・出会いの応酬、つまりは出会い合い

1/9
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ

Chapter5・出会いの応酬、つまりは出会い合い

Ⅰ) 天国での会話 ーーただいま、戻りましたあ! 「こはくん、おかえり! お疲れ様でした! どうだった?」 「ももちゃん、ただいまー! うん、お会いできて、ホントに嬉しかった! こはくたちキューピッドは、担当している間には、カップルのお2人に会えないから! でも、担当終えてからも、無事生涯をともにするカップルの様子を見守って。 今日みたいにご夫妻が天国で再会なさった場に立ち会えることが、この仕事の至上の喜びだよ! お2人とも、ホントお幸せそうで!!」 「いいなあ…。ぼくも早く、そんな風に言えるようになりたいなぁ。」 彼女の名前は琥珀( こはく)さん。 ぼくの子どもの頃からの幼馴染みで、キューピッド課の先輩。 これまで手掛けたカップルは全て、天国入りを果たしていると言う、成績トップクラスのエリートキューピッドちゃんです。 樹液が昆虫を吸い寄せるがごとく、男子たちが吸い寄せられちゃう美貌の持ち主。 色白のふっくら柔らかそうなほっぺに、ぷくりと艶やかな唇。小動物のように愛らしい瞳は常に潤いを湛え…そして。 何より素晴らしいのが翼!! 「琥珀」の名の示す通り、べっ甲のごとく半透明に輝く、琥珀(アンバー)色の、あの翼!! 人間や天使たちはおろか、地獄の皆さんをも虜にして止まない、『お嫁さんにしたい天使ナンバーワン』! それが、彼女。 ぼくの幼馴染みの『こはくん』こと、琥珀ちゃん なのです。 ところで。今更ながら、ぼくらは天使なので。 背中に立派な翼を持っています。 琥珀ちゃんがアンバー色の翼を持つように、そのほとんどが名前に応じた色をしています。 かく言うぼくの翼は、やっぱりピンク色。桃のように淡くて甘い、我ながらお気に入りの翼です。 で、ぼくら天使にとっては、この翼の美しさも、他のルックス同様、いや、それ以上に、とても重要なモテ要素、なのです。 (大きさは自在に変えられるので、邪魔な時や人間界に行く時には小さく、異性へのアピールや、もちろん飛翔の時には、最大にします。)
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!