辰之輔ターン1・ふたたび出会う、ということ

2/2
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
[1年D組] 「神戸から来ました、岸本辰之輔(しんのすけ)デス。小2の夏まではこっちで育ちました。やから、その時のこと、知ってたりしたら、声かけてもらえると嬉しいデス。よろしくお願いします。」 ーーぱち ぱち ぱち はあ。タイムラグに感謝し過ぎたな。できれば、距離的なラグもお願いしたかった。…ディスタンスラグ? すみちゃんと(おな)校……まあ、ええよ。 すみちゃんと(おな)クラ……ちょっと ラッキー? 席、前後て!!何分の1の確率やねん!!そんなん、要らんねん!! 勘弁してくれよ!! 「岸本くん。うち 堀 爽美(さわみ)。席隣だし、困ったことあったら言ってね。あ、そだ、岸本くんの前の席の子は『スミっち』。里中 寿実(すみ)ちゃん。」 「あ、はい。オレ、すみちゃ…里中さんと同じ 光ヶ丘小やったから。知ってマス。」 「わー、そうなんだー!んじゃ、心強いね、岸本くん。近い席に顔見知りがいてよかったね!」 「ははは。うん。里中さんさえ 迷惑じゃなければね。ははは…」 「めっ!…めいわくではない、です。とんでもない!そんな。あと、昔のまま『すみちゃん』で、大丈夫デス。」 あかん。あかん。あかんって!オレ! なんっやねん、タイムラグ、無意味!! 全然諦められてへんし!! ーー昔のまま『すみちゃん』で、大丈夫デス。 だ・か・ら! リフレインすんなって!! ーーキャー!きぃちゃんだー!今日も美人さんだねー! ーーおい、女子だけズルいぞ、きぃちゃん元気?また、さわっちンとこ来たのー? ーーそう。さわと 寿実ちゃん、いる? 何や、また騒がしいな。別クラスのくせに、一気にみんなに囲まれて。一体?…あ、群れ掻き分けて、出て来た。 うっわ、モデルみたいなコやなぁ。 ーーツカ ツカ ツカ (ん?こっち来んの? そか、堀さんとすみちゃんに用事や言うとったな。) 「しんちゃん!久しぶり〜!アタシ、西周 稀波(にしあまね きなみ)デス。しんちゃん、覚えてないかな?分かんないか。8年ぶりだもんね?」 「彼女、『きぃちゃん』だよ。ほら、『しんちゃん』といつも うちの駄菓子屋、来てくれてたでしょう?」 「ああ!分かった!『大家さんちの孫のきぃちゃん』! うわぁ!きれいになったねー!さっきも、モデルさんみたいな人が歩いてくるから、一瞬、緊張してもたわー!」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!