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[1年D組]
「神戸から来ました、岸本辰之輔デス。小2の夏まではこっちで育ちました。やから、その時のこと、知ってたりしたら、声かけてもらえると嬉しいデス。よろしくお願いします。」
ーーぱち ぱち ぱち
はあ。タイムラグに感謝し過ぎたな。できれば、距離的なラグもお願いしたかった。…ディスタンスラグ?
すみちゃんと同校……まあ、ええよ。
すみちゃんと同クラ……ちょっと ラッキー?
席、前後て!!何分の1の確率やねん!!そんなん、要らんねん!!
勘弁してくれよ!!
「岸本くん。うち 堀 爽美。席隣だし、困ったことあったら言ってね。あ、そだ、岸本くんの前の席の子は『スミっち』。里中 寿実ちゃん。」
「あ、はい。オレ、すみちゃ…里中さんと同じ 光ヶ丘小やったから。知ってマス。」
「わー、そうなんだー!んじゃ、心強いね、岸本くん。近い席に顔見知りがいてよかったね!」
「ははは。うん。里中さんさえ 迷惑じゃなければね。ははは…」
「めっ!…めいわくではない、です。とんでもない!そんな。あと、昔のまま『すみちゃん』で、大丈夫デス。」
あかん。あかん。あかんって!オレ!
なんっやねん、タイムラグ、無意味!!
全然諦められてへんし!!
ーー昔のまま『すみちゃん』で、大丈夫デス。
だ・か・ら!
リフレインすんなって!!
ーーキャー!きぃちゃんだー!今日も美人さんだねー!
ーーおい、女子だけズルいぞ、きぃちゃん元気?また、さわっちンとこ来たのー?
ーーそう。さわと 寿実ちゃん、いる?
何や、また騒がしいな。別クラスのくせに、一気にみんなに囲まれて。一体?…あ、群れ掻き分けて、出て来た。
うっわ、モデルみたいなコやなぁ。
ーーツカ ツカ ツカ
(ん?こっち来んの? そか、堀さんとすみちゃんに用事や言うとったな。)
「しんちゃん!久しぶり〜!アタシ、西周 稀波デス。しんちゃん、覚えてないかな?分かんないか。8年ぶりだもんね?」
「彼女、『きぃちゃん』だよ。ほら、『しんちゃん』といつも うちの駄菓子屋、来てくれてたでしょう?」
「ああ!分かった!『大家さんちの孫のきぃちゃん』!
うわぁ!きれいになったねー!さっきも、モデルさんみたいな人が歩いてくるから、一瞬、緊張してもたわー!」
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