稀波ターン1・恋という、未知のもの

2/2
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
寿実ちゃんちからうちまでは、歩くと20分位。自転車だと飛ばせば7、8分で行けるけど、自転車はお兄ちゃんから禁止されてる。運転荒くて、すぐ転倒(コケ)るから。 2才年上、今高3、絶賛受験モード中の我が家の長男、つかひとり息子の西周 瑞稀(にしあまねみずき)くんのフィロソフィーはずばり! 『安心・安全』。 「どこの鉄道会社だよっ」とツッコミたくなるが、そんな事を言わせっちゃってる張本人は、他ならぬ自分だと心得ているため、深くはツッコまない。 ガサツで粗野、まあ ちょっと元気が良すぎるのがたまにキズなアタシは、怪我の絶えない少女時代を過ごしていた。にも関わらず近年、ちょっとした成り行きで、ご縁に恵まれ、モデルめいた事をする機会がある。そのため、関係各所へのご迷惑も考慮した兄の『安心・安全』。 心配性が度を越してウザすぎることもあるが、極力協力したいところだ。 って、何の話だ…。現実逃避から、話を逸らしちゃったな。 閑話休題。 そうだ。 あの後、どうやって寿実ちゃんちから帰って来たんだろう。 というか…。何から話せばいいんだろう…。 『しんちゃん』…。ああ、『しんちゃん』…♡ 岸本辰之輔、通称『しんちゃん』。 うちのおじいちゃんちの、お隣さんちの『しんちゃん』。うちは、パパの仕事の関係で両親が留守がちだったので、ちっちゃい頃はおじいちゃんちで過ごすことが多かった。なので、仲良しだった『しんちゃん』。 野球もサッカーも、忍者ごっこもライダーごっこも、教えてくれた『しんちゃん』。 ーー引っ越してからも、オレ、ずっと好きやったみたい!です! ……オレも!!オレ…ちが、アタシもずっと好きやった、みたい。 ……好きやったみたいなんだけどぉっ!! まさか、こんな事態がアタシの人生に巻き起こる日がこようとはっ(泣) こんな事態、否、惨劇。 8年ぶりに再会した幼馴染みが他の()に告ってる現場目撃! からの、 若干距離ある所からでも、ハッキリ視認可能な程顔赤らめちゃってる彼を見て、「アタシの方こそ、あなたをずっと好きやったみたい」と、まさかの初恋自覚! からの、 いきなり失恋決定!!って!!
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!